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旧吉池医院について

※山形県の近代化遺産(山形県近代化遺産総合調査報告書(2001年3月)による

 

■所在地:山形市十日町二丁目4-15/吉池章夫氏

 

■竣工年:大正元年(1912年)

 

■設計:中條精一

 

■構造・材質:木造モルタル二階建(塔屋、玄関ポーチ・北面庇付き、寄棟造り銅板葺き)

 

■設計に至る経緯:吉池家先々代の当主(省吾氏)が米沢出身で同郷の中條精一郎に設計を依頼したと伝えられ(米沢中学の同級生は佐野利器)、旧県庁舎より4年早く完成している。先々代は眼科、先代(太郎氏)から小児科。

■敷地:国道112号に西面する間口は9間、奥行55間程

敷地の北半部にあった木造平屋建ての居住棟は平成10年(1998年)に撤去された。敷地後半部に医院とその奥に入院病棟があったが、入院病棟は取壊して、平成11年(1999)に居住棟を新築している。

 

■建物基礎は凝灰岩製切石積み布基礎、外壁モルタル洗出し、内装は1・2階とも壁面から天井にかけて漆喰塗りとし、室内には立板腰壁を設け2階応接間の壁面は舶来壁紙張りとする。床は板張りである。窓は、1階正面のみ両開きアーチ形窓とする他は1,2階・塔屋とも上げ下げガラス窓である。

 

■部屋割

1F:受付事務室兼薬局、待合室、小児科診察室、皮膚科診察室、暗室

2F:応接室、他4室

 

■意匠的特徴:旧県庁舎のやや堅苦しい対称的な立面意匠に対して、吉池医院の非対称で装飾的細部の多い意匠は、県庁舎の設計に当って、中條精一郎は種々の意匠をこの建物で試みたと思われ、窓、屋根、天窓等に共通点が見られる。

外壁、屋根を飾る多様な細部様式や玄関ポーチと主屋上の鋳鉄製欄干(2022年撤去)、門燈台、南側面小庇の金属製品などにも豊富な洋風建築の知識が窺え、小規模建築に多様な様式的細部を適度に分散させてコンパクトにまとめて、意匠的、施工的にも優れ、保存良好である点で、極めて評価の高い建物である。(担当:東北芸術工科大学芸術学部 宮本長二郎教授)

■2023年1月31日にて閉院。2023年7月3日 吉池章夫氏逝去。

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